柴宮長左衛門の建築
旧戸倉町、現千曲市に建つ水上布奈山神社本殿は大隈流の建築様式を残す大型の社殿である。
寛政元年1789年に大隈流、 柴宮長左衛門矩重が建築したと言われ、国の重要文化財に指定されている。
本殿は前方の軒が長く延びた流造で、もっとも多く見られる本殿の形式の一つといえる。
向拝の正面に軒唐破風を付け、屋根は杮葺きとなっている。
この社殿でもっとも特徴的なものといえるのは、柱や脇障子に取り付けられた豊富な彫刻だ。
中でも、脇障子上(上り竜・下り竜)、脇障子(竹林七賢人)、扉脇(仙人)、繁垂木(上り竜・下り竜)、支輪(波に亀・飛竜)は、柴宮長左衛門の彫刻の力強さをよく示し、また、縁の蘇鉄に兎も、非常に見ごたえがある。
大工の柴宮は、江戸時代後期を代表する名匠として知られ、大隈流宮大工の棟梁として、諏訪大社などを手がけていることでも有名になっている。
水上布奈山神社の本殿は、塩尻に建つ、同じ柴宮の作品である北熊井諏訪神社と様式や彫刻が似ているそうだ。